この記事では、この3種類の接着剤(セメント)について分かり易く解説していきます。
ガンプラ製作に使用するものとして凡そ3種類のセメントがあり、それぞれ目的や用途を考慮して選択していく必要があります。
一口にセメントと言っても、実は意外と使い方が難しく、それぞれの特徴をうまく活かしていかないと出来栄えが大きく違ってきます。
以下では、主に使用されている3種類の接着剤(セメント)の性質や使用に適したシーンについて説明していきます。
セメントの応用編はこちらの記事を参照下さい。
スチロール樹脂用接着剤
ガンプラの接着剤といえばまずは「スチロール樹脂用接着剤」です。スチロール樹脂用セメントは、そのままずばり。
「スチロール樹脂」を溶かして接着(癒着)させる接着剤です。
ガンプラの材料、つまりプラスチックの材料が「スチロール樹脂」なんです。
癒着と書きましたが、スチロール樹脂用セメントは、セメントの塗布面のプラスチックが溶けて、合わさって接着されるということで、完全に乾くと、瞬間接着剤よりも強力な接着になります。
まあ、ですから例の「むにゅっ」ていうのが出来るんですね。
あとやはり臭いが独特ですね。嫌いだという方も多いと思いますが、ワタシ、この匂いが大好きです。
別記事で説明する「リモネン」系のセメントは、この匂いを緩和していることになっていますが、ワタシはどちらの臭いも大好きです。
さて、このスチロール樹脂用セメントですが、大きく2つのタイプがあります。
① 通常のタイプ
② 流し込みタイプ
通常タイプ(貼り合わせタイプ)
通常タイプとは、後述の流し込みタイプに対して、貼り合わせタイプのセメントのことを指します。
キャップの裏についている刷毛部分で、パーツに直接塗り付けます。基本中の基本のセメントですね。
まあ、はっきり言えば、これ一つあれば、何とかなるという万能タイプです。
こちらの通常タイプのセメントは、合成樹脂成分が含まれておりドロドロしています。また、乾燥が遅いというのも特徴です。
使い方次第なので、乾燥が推しということがそのままデメリットということではありません。
速乾タイプは、塗ってすぐくっつけないと接着力がなくなってしまいますが、この通常タイプは直ぐに固まらないことで、接着後に接着部分の調整ができるというのがいいところでもあります。
ふつうって何じゃい!?って感じですけど、流し込みじゃない方のタイプのことですね。
流し込みタイプがサラサラなのに対して、張り合わせタイプは少し粘性が高くドロドロしています。
<使い方>
① 接着する両パーツの両面にたっぷり塗布する。
② 塗ったところが少し溶けるのを待つ。ワタシは20秒くらい。
③ 両方のパーツを貼り合わせて、圧をかける。
④ 接着面から溶けたプラがむにゅって出たらクランプでとめる。
⑤ 1日~2日放置する
流し込みタイプ
もう一つのスチロール樹脂用セメントが、無樹脂溶剤型のサラサラした流し込みタイプです。
こちらは、接着するパーツ同士をあらかじめ組合わせておき、それから、合わせ目に沿ってセメントを染み込ませてやります。
毛細管現象を使ったやり方で、細部に至るまでしっかり、セメントがいきわたります。
流し込みタイプのセメントは、一般的に乾燥が早く、接着力も割と強力で非常に便利です。
通常タイプは万能型といいいましたが、実はワタシ、こっちの流し込みタイプのセメントの方が使用頻度が高いです。
特に写真のクレオスから発売されている「Mr.セメントSP」は、むちゃくちゃ乾燥が早く、そして接着力も強力なので愛用しています。
流し込みタイプの最高峰とも言われていますね。愛用されている方も多いと思います。乾くのめちゃくちゃ早いです。
ただ、この流し込みタイプのセメントは、要注意です。セメントを流し込むその瞬間、接着面に指を置いておいてはイケマセン!
超毛細管現象で、合わせ目から、指紋をつたわり、パーツの綺麗な面に溶けたパーツで指紋が残ります… あるあるですが、こうなるともう余計な手間が増えて泣きたくなります。
流し込みタイプは、先述のように毛細管現象を利用します。ですので、パーツ同士を組み合わせてから、流し込む感じですが、これが意外と難しい…
なので、流し込みタイプの場合は、紙をはさんで、セメントを流し込む隙間を作ると良いです。
新聞に入っている折込チラシでも良いと思います。このチラシを挟んで、パーツを組み合わせます。
その後、紙を引き抜くと、ちょうど良い隙間が空きます。是非お試しを。
瞬間接着剤
スチロール樹脂用セメントは、パーツを溶かして接合するというメカニズムですが、瞬間接着剤は空気にふれることで硬化が始まる仕組みです。
スチロール系接着剤よりも短時間でかたまるのですが、強度はスチロール系接着剤よりも弱く、落とすとパーツが剥がれてしまうおそれがあるので注意が必要です。
私が持っているのは、タミヤさんのイージーサンディングとWAVEの黒い瞬間接着剤です。(真ん中の二つね。)
瞬間接着剤は、硬化促進剤と一緒に使用するのがおすすめです。瞬間って書いてあるのに固まらないんですよ!
でも硬化促進剤なら一瞬です。めちゃくちゃ作業効率アップです。
パーツ同士の合わせ目の消し方も、スチロール系セメントと瞬間接着剤では、その方法が異なります。
瞬間接着剤の効果的な使い方
スチロール樹脂用セメントについては、特に言及することもないと思いますが、瞬間接着剤だけは、使い方が難しく、コツが必要です。
瞬間接着剤の使い方のポイントは、ずばり二つです。
① 直接パーツに塗らない。
② 硬化促進剤を併用する。
瞬間接着剤には、スチロール樹脂用セメントのように刷毛がついてきません。それは容器から出すと直ぐに硬化するからです。
というのは半分正解で半分間違いです。瞬間接着剤は、モノに拠りますが、出して数秒で硬化するものはあまりありません。
瞬間接着剤は、ヒケ埋めなどの場合は、一度マスキングテープなどの上に出してから、つまようじやへらなどでパーツに塗布するのがベターです。
瞬間接着剤が余分なところにつくと、後が大変です。特に塗装後にこれをやると最悪ですね。瞬間接着剤は乾くと白くなりますから…
ということで、瞬間接着剤は塗布したい場所に確実に適量を塗布することに重点を置きましょう。
そして、塗布したら、硬化促進剤を使いましょう。
ワタシは長らく、この硬化促進剤というのを使わずに来ましたが、硬化促進剤は絶対に使った方が楽です。驚くほど瞬間的に硬化しますよ。
ABS樹脂用接着剤
ABS樹脂用接着剤は、ABSと書かれているパーツ専用の接着剤です。
ABS樹脂は、ガンプラのフレームの中でも強度を必要とする部位や、ポリキャップが仕込めない小さな可動部などに、より柔軟性が必要なパーツに使用されています。
このABS樹脂は、ポリスチレン(スチロール樹脂ね)とは成分が違うので、スチロール系セメントを塗っても「むにゅっ」がでません。
どころか、ABS樹脂にスチロール系セメントを使うと強度が足りないどころか、破損を招く場合があり、使用しない方が良いです。
ABS樹脂の接着にはABS用のセメントを使いましょう。
まとめ
ではこの記事のまとめです。
① スチロール樹脂用接着剤 ⇒ 通常用と流し込みようがある
② 瞬間接着剤 ⇒ 直接塗りはしない。硬化促進剤を使う
③ ABS系接着剤 ⇒ ABS素材にスチロール樹脂用接着剤は使わない
この3種類のセメントをマスターすれば、もっとガンプラ製作が楽しくなるはずです。