スミ入れは、ディテールアップの基本中の基本です。しかし一方で、何度やってもミスが出易いテクニックです。
この記事では、プラモデルにスミ入れをする際にやりがちな3つの失敗事例を引き合いに、上手なスミ入れの方法を紹介します。
ついでに3種類の基本のスミ入れツールの紹介もしちゃいます。
やりがちな3つの失敗事例をしっかり押さえて、美しいスミ入れを実現しましょう。
ガンプラスミ入れ3つの失敗と打開策
簡単そうに見えますが、意外と難しいのがスミ入れです。
慣れない時にはいくつかの失敗を、、もとい今ですらよくミスります。
こんな状況を回避するために、代表的な3つの失敗と回避策を紹介します。
1_スミがのらない
一番頻度の高いあるあるです。エナメル塗料でよくある現象ですが、何度塗料を流し込んでも濃くならないんですよね。
しっかりスミを乗せたつもりでも、拭き取ってみると、全然スミが入ってない!!
超、むかつく状況です。
■主な原因
①油分が残っている。
②モールドが浅いか広い。
◆回避策
①パーツを良く洗浄してからスミ入れする。
②モールドを彫り直してからスミ入れする。
特に逆エッジの部分は、しっかりスジボリを入れていないと全くスミが入りませんので要注意です。
2_にじむ・拭きとれない
こちらもあるあるです。
モールドの縁がにじんだり、思いもよらぬところにスミが入ったりとリカバリーが難しくなる現象なので注意したいヤツです。
まずは、目に見えていなかった小傷にスミが入り込むパターンです。これも超ムカつく失敗例です。
そして次は、表面処理が雑だったために、モールドの周りがにじむパターンです。ムカーーーッ!!!
■主な原因
①小さな傷が入っている。
②パーツの表面(モールドのエッジ)がざらついている。
◆回避策
①スミ入れの前に、目を皿のようにして小傷を探し出し、それを埋めておく。
②パーツの表面を800番以上のヤスリで滑らかにならす。
3_パーツが割れる
上手は人はほとんどないと思いますが。しかし、初心者の時にはこうしたことも起こります。
エナメル塗料でくだけたパーツは、ほぼほぼ修復不能です。。。
パテで欠損部分を補修するか、プラ板で新造するか、、いずれにしてもリカバリーがめちゃくちゃ厄介なパターンです。
■主な原因
①エナメル塗料の流し込みすぎ。
②スジボリを深く入れすぎ。
◆打開策
①エナメル塗料を流し込み過ぎない
②発の中でもテンションのかかった部分にはエナメル塗料を使用しない
③雑なヤスリがけの上から使用しない。
スミ入れの目的とは何か?
そもそも「スミ入れ」とは何か?ということですが、これをしっかり理解しておくとスミ入れが上達するんじゃないかと思います。
スミ入れとは、プラモデルのパーツ表面に刻み込まれている様々なモールドに塗料を流し込むことによって、これらのモールドを強調し、よりはっきりと見せるための技法です。
人工的にパーツのつなぎ目やディテールに「影」を創り出し、キットの情報量を増やすことで、メカっぽい感じが増し、見栄えが良くなるというわけです。
つまり、「どの部分に影をつくればカッコよく見えるか」を見極めてスミ入れすることが重要ということになります。
因みに、エナメル塗料は、薄く希釈してサラサラな状態で流し込みますが、これは毛細管現象を利用して塗料を流し込んでいます。
これらの原理を踏まえた上で、スミ入れに臨みましょう。
基本のスミ入れツール3選
スミ入れは、パーツの表面にある細かい溝や凹みにエナメル塗料を流して、モールドに影をつくり、凹凸を際立たせる行為ですが、影になる「スミ」を入れるツールには様々な種類があります。
ここでは代表的な3種類について紹介します。いろいろな手法がありますが、この3種類だけ覚えておけば全く問題ないと思います。
ご自身の作りたいキットや環境に合わせて選べばよいので、コレが一番というのは人それぞれです。自分に合ったものを選びましょう。
まずは3つのツールのメリットとデメリットをまとめました。
1_シャーペン
シャーペンです。GSIクレオスの「ガンダムマーカー GP01 ガンダムスミイレシャープペン」が有名です。
といっても、普通のシャーペンでも問題ありません。
ただ、できるだけ細く、芯の柔らかいものが使い易いので、太さは0.3ミリ、芯の濃さは「B」あたりを使うのが良いと思います。
◇メリット
①安い、手に入れ易い。
②はみだしが少ない。
③リカバリーが簡単。
◆デメリット
①ペン先よりも細いモールドにはスミが入らない。
②塗ったところが光の反射でテカる。色が薄い。
③カラーバリエーションが少ない。
▶利用シーン
①手軽にガンプラやりたい人。
②パチ組をちょっとカッコよく見せたい人。
普通のシャーペンとしても使えます。むちゃくちゃ簡単で、パチ組でも、塗装の上からでも使用できます。
2_マーカー
ガンダムマーカーです。GSIクレオスの「ガンダムマーカー スミいれ用」が有名で、ここでは「極細タイプ」を紹介します。
正直、極細の油性マーカーならなんだって良いかと思います。
ガンダムマーカーにもいろいろと種類がありますが、今回は、ガンダムマーカーなら個人的にコレが好きだという理由で極細マーカーをピックアップしました。
流し込みタイプもあるのですが、これを使うなら、エナメル塗料を使うかなと。
マーカーは基本的にどれも大きな差はないと思っています。(ワタシは塗装派なので、基本的にはマーカーを使用しません。下記参照。)
◇メリット
①太さを一定に保てる。
②カラバリが多い。
③シャーペンより濃い。
◆デメリット
①ペン先がよりも細いモールドにはスミが入らない。
②アルコール系なので、他の塗装を侵食する。
③カラーバリエーションが少ない。
▶利用シーン
①パチ組派で塗装をしない人。
②パチ組だけどワンランク上の仕上がりにしたい人。
マーカーはアルコール系塗料であるために、全ての塗装を破壊します。この理由の為に塗装派でマーカーを使う人はいないでしょう。
ただ、ガンプラは全ての人に開かれています!
塗装をしない人だって最高に楽しめるのがガンプラですから、マーカーはそうした人向けのツールということになろうかと思います。
3_エナメル塗料
エナメル塗料です。ガンプラを塗装している人の多くはこれを使っているのかなと思います。
タミヤさんの「エナメル塗料スミ入れ用」がメジャーですね。
液体の専用塗料だけあって、スッと入っていく感じが好きです。とても綺麗にスミが入ります。
◇メリット
①極細のスミ入れができる。
②カラバリがかなり多い。
③他の塗料の上から使える。
◆デメリット
①プラ材を破壊する。
②ちょっと臭い。
③上二つよりは取り扱いが難しい。
▶利用シーン
①塗装派の人。
②本気でガンプラをやりたい人。
エナメル塗料を使っても「割れたことなんてないし」という声をよく耳にします。しかし、それはその方の使い方がうまいのです。
エナメル塗料でパーツが破損することはあります。
塗料を大量に使ったり、テンションがかかった部分に使用したり、あるいは雑なヤスリがけの上から使用すると本当に割れます。
ただ、そうした技術を習得することも込々で、一番仕上がりが良いのはやはりエナメル塗料かと思います。
スミ入れツールはどれを使っても自由ですが、ワタシ個人としてはエナメル塗料を推します。
まとめ
スミ入れは簡単なようで、じつはとても奥が深いディテールアップのテクニックです。
様々な種類のスミ入れツールが販売されていますが、概ね「シャーペン」、「マーカー」、「エナメル塗料」の3種類に分類されます。
ご自身の使用環境に合わせてツールを選択することが大切です。
また失敗事例と言うのもだいたい上述の3パターンに集約されるので、こうしたポイントはしっかりと押さえながらスミ入れしていくことも大切です。
ここでは、スミ入れの基本中の基本について説明しましたが、まだまだスミ入れの奥は深いものがあります。
次の記事では、ワンランク上のスミ入れテクニックを紹介します。