この記事では、プラバンを使った装甲パーツ裏のディテールアップの基本工作について解説していきます。
プラバンディテールの良いところは、パテで作るディテールよりも、情報量を盛り込み易いところかなと思います。
ただ、正確にプラバンを切り出す為に知っておかなければいけないことがいくつかりあります。
これを理解していないとたぶん、いくら慎重にやってもダメです。
プラバンの性質を理解しておくことが重要です。
プラバンの基本的な性質
ナイフの刃によって切られたプラバンは、刃の両脇に押されて圧縮されます。
当たり前ですが、デザインナイフの刃の厚みの分だけ、プラバンが変形するということです。
プラが変形しているのが分かるでしょうか?
![裏打ちディテール3-01](https://plafreak.com/wp-content/uploads/2021/09/YCTT0206.jpg)
プラバンに圧力がかかると、その圧力は、プラバンの面積が小さい方に逃げていくのです。
残す方のパーツに圧力がかかれば、切り出す時に破損してしまったり、パーツが定規の下にもぐったり、そもそも正確に切り出すことができません。
したがって、小さいパーツ、細いパーツになればなるほど、残す側のパーツへの影響を小さくするために、残すパーツよりも切り取る余分な部分を小さくしておく処理が必要だということです。
ディテールを入れるベースパーツを切り出す。
装甲の裏側に入れるディテールはいくつか基本になる作り方があります。
この記事では大きく二つに分類してみました。
1.パーツの外周で切り出すパターン
2.パーツの内周で切り出すパターン
いずれも「圧力で変形し易い」というプラバンの基本的な性質を踏まえて切り出すことを意識するのは同じです。
パーツの外周で切り出すパターン
このパターンは、装甲パーツの外周のサイズで切り出してから、はめ込む部分の外周と内周の差分を切り出すという手法です。
言葉にすると難解ですが、やってみると簡単です。
まずは、プラバンの上にパーツを伏せておき、パーツの外周で切り出します。
ジョイント部を切り抜いたプラバンをかぶせ、
![裏打ちディテール3-08](https://plafreak.com/wp-content/uploads/2021/09/LKWR3668.jpg)
でもって、パーツを裏返し、パーツの外周を縁取ります。
![裏打ちディテール3-13](https://plafreak.com/wp-content/uploads/2021/09/DOIA8295.jpg)
そして、パーツの外周と内周を計測し、切り取る部分のあたりを入れます。
![裏打ちディテール3-07](https://plafreak.com/wp-content/uploads/2021/09/LPHX0891.jpg)
最後に、差分を切り取ります。
このパーツの場合は、ちょうど1ミリの幅で切り出します。
切り取る方の幅が残す方よりも小さいので、圧力はいらない方(切り取る方)に逃げていき、残す方には影響がありません。
![裏打ちディテール3-04](https://plafreak.com/wp-content/uploads/2021/09/SGAC9912.jpg)
簡単でしょ。これでベースになるパーツの切出しは完了です。
パーツの内周で切り出すパターン
こちらは、前回説明したマスキングテープで型をとるパターンですね。
こちらの前回記事を参照ください。
ディテールの入れ方
前項で、ディテールを入れるためのベースになるプラバンを切り出しました。
ここからは具体的なディテールの入れ方について説明していきます。
枠を切り出す
まずは、ベースのプラバンの中を繰り抜いて枠を切り出すパターンです。
切り取るパーツよりも、残す枠の方が狭い(面積が小さい)ので、切り出し方にコツがいります。
ベースのプラバンに枠を書き込んだら、切り抜く部分にドリルで穴を開けます。
![裏打ちディテール3-02](https://plafreak.com/wp-content/uploads/2021/09/USLX8822.jpg)
この時、ドリルの穴は残す枠よりも少し内側までにとどめることが肝要です。
![裏打ちディテール3-09](https://plafreak.com/wp-content/uploads/2021/09/KEWD0218.jpg)
残す枠よりも切り取る部分が小さくなったら、枠線に沿ってデザインナイフで余分な部分を切り取ります。
圧力は、切り取る部分に逃げていくので、残す枠の方は変形がありませんね!
今回は複層にするので、もう一層のプラバンも処理しておきます。
![裏打ちディテール3-06](https://plafreak.com/wp-content/uploads/2021/09/MTMK5794.jpg)
2.枠の内側に補強部材(リブ)をかける
これもディテールでは定番ですね。
このリブも、外枠と一緒に最初から残したまま切り出すパターンもありです。
ワタシは、最近老眼がきつくなって細かい作業が辛いので、リブは後付けです。
まずは、1ミリ幅のプラ板を切り出します。
失敗も含めて何本か使うか分からないので、同じ長さのモノを一度につくっておきます。
1ミリ幅のプラ板を両面テープで固定します。
こんな感じです。
![裏打ちディテール3-12](https://plafreak.com/wp-content/uploads/2021/09/DRVD9050.jpg)
![裏打ちディテール3-03](https://plafreak.com/wp-content/uploads/2021/09/TWPB6417.jpg)
こんな感じで同じサイズのリブを作っておくと便利です。
これを加工しながら、組み合わせてディーテルを作ります。
![エポパテ20](https://plafreak.com/wp-content/uploads/2021/09/QOST7754.jpg)
この時も2つのコツがあります。
1.マスキングテープの上で接着する。
2.硬化効果促進剤を使う。
マスキングテープの上で作業すれば、プラ材がマットにくっついてしまうことはありません。
硬化促進剤は時短の為です。
ディテール制作では瞬着を多用します。
瞬着 は意外と乾きが悪いので、硬化促進剤は必須ですね。
スプレータイプが使い易と思います。ワタシはガイアノーツのものを使っています。
老眼できつい方は、ルーペの使用をおススメします。
細かい作業はきついんだよねー。だからこれが凄く役立ってます(笑)
リブを装飾する
単純にリブを渡すだけでも情報量が増えていますが、更にもうひと手間かけます。
リブの根元を補強して、切り取った部分を四角形から多角形に変更します。
適当に切り取った三角形を、リブの根元に瞬間接着剤で貼り付けていくだけです。
まずは適当に三角形を切りだし、
リブの根元、できれば鋭角な角をこの三角形の破片で埋めていきます。
![裏打ちディテール3-05](https://plafreak.com/wp-content/uploads/2021/09/MWDJ9102-1.jpg)
長方形よりは台形、四角形よりは六角形と言ったように、視覚的に複雑なものは情報量の多さと比例しており、見栄えがします
4.プラバンパーツを複層にする
最後は、パーツの複層化です。
といっても2~4枚のパーツを重ねて情報量をアップする手法です。
今回は先ほど作った2種類のパーツを重ねます。
するとこんな感じなります。
![裏打ちディテール3-11](https://plafreak.com/wp-content/uploads/2021/09/FNIY6901.jpg)
因みに、3層で作ってみたヤツです。(別の機体ですが。)
次のような応用を施すと自分だけのかなり複雑なディテールを作ることが可能です。
1.プラバンパーツの層を増やす。3~5層くらいにしてみる。
2.厚みの異なるプラバンでパーツを作ってみる。
3.最下層には、プラバン以外の部品を埋め込んでみる。
いやいや想像が止まりませんね!
この辺りはまた、別の機会に記事にしていこうかと思います。
因みに、これまでに装甲の裏側を作り易かった機体です。
やはりHG系に多いですね。
この記事を読んで面白いと思った方は是非チャレンジしてみてください。
ワンランク上のディテール工作のまとめ
何度も言うように、やはりまずはプラバンの性質をしっかりと押さえておくことが重要です。
プラバンは切り出す時の圧力で変形してしまいます。
ですから、 残す側のパーツへの影響を小さくするために、残すパーツよりも切り取る余分な部分を小さくしておく処理が必要です。
その上で、下記のようなディテールを加えていきましょう
1.枠を切り出す
2. 枠の内側に補強部材(リブ)をかける
3.リブを装飾する
4.プラバンパーツを複層にする
オリジナルのディテールができると満足感が違いますよ!
こちらも参照ください。
前回はプラバンの基本工作について説明しました。