アムロ「 二度もぶった! 親父にもぶたれたことないのに! 」
ブライト「 それが甘ったれなんだ! 殴られもせずに一人前になった奴がどこにいるものか 」
アムロ「 もうやらないからな、誰が二度とガンダムなんかに乗ってやるものかっ! 」
アムロのセリフが聞こえる。
だがこれは若井おさむ氏だろう。
古谷徹氏よりもアムロっぽい。
声を聞けばワタシには分かる。
ちょっとやりすぎだ。
ある日の夕食。
嫁が切り出した。「私これ知ってるわ。アムロの声優の人でしょ。」
ちがう。
古谷徹氏に失礼だぞ。
これは若井おさむという物まね芸人だ。
「ん? んー。まあ似てるけど違うね。」
「違うの?」
「ちがうよ。」
「だって、この人あれでしょ。星飛雄馬のひとじゃん。」
「それは知ってるんだ…。あれはね。モノマネ芸人の若井おさむという人だよ。」
優しく教えてやった。
うちの嫁はセイント星矢世代のはずだが、星飛雄馬を挙げてくるところにセンスを感じてしまった。
うちの嫁はたまにワタシの心の琴線を震わせる。
本当なら「あほか!」と突っ込みたいところだが、嫁からガンダムネタを振ってくることは珍しい。
ここはひとつ生温かく見守ってやるべきだろう。
「でもよくわかったね。そういうとこ結構敏感だよね。」
「まあ、それくらいはね。へへっ」
まんざらでもなさそうだ。
「そういえばさ。ガンダムといえば、ザクのことも知っていたよね。」
「あれは知ってるわよ。有名じゃない。」
「女の人の口からザクとかでてくるとなんか斬新な響きでさ」
「あれでしょ?ほら青いやつ。髭のある。」
口元でヒゲのジェスチャーをしながら嫁が言った。
髭?!
あ、青?!
どっちからつっ込めばよいのか、一瞬言葉を失う。
「ん? んー、まあそうだね。緑とか赤いやつはいるよね。」
そうか。
野郎、グフと間違えてやがんな…
ヒゲ?… そうか! ラルの顔が記憶に残っているのかも…
いいぞ。
悪くない。
「他にもガンダムでなんか知ってることある?」
「ありありよ。」
「ほんとに!? なになに?何知ってんの?おしえてよ!」
「シャアよ」
嫁は宣言するように言った。
「おぉーー!さすが。」
パチパチパチ。
「サングラスの人でしょ。金髪碧眼の。」
ほほう。金髪碧眼ときたか。
「おぉーー!そうなんだよ。すごいじゃん!声とか有名だもんね」
「声は知らない。」
「そうなんだ…」
「まあまあイケメンよね。」
シャアをイケメンと言ったよ。
声よりも顔でシャアを認識する人を初めて見た…
我が嫁ながら斬新だ。
ワタシにはシャアがイケメンだという認識がないから非常に新鮮に感じるコメント。
ま、確かに間違いではないな。女々しいところもあるけどね。
しかし、嫁がシャアを知っていたとは!
これはかなりいいんじゃないだろうか。
もう少し耐えて探ってみようか。
嫁のガンダムに対する認識とやらを。