「へぇ~ アムロとシャアを知ってりゃあ、たいしたもんだよ。」
夕食のひと時。
何気にガンダムネタになったところで、意外と嫁にも知っていることがあるということが判明。
ここだ!
一気呵成に褒め倒して、ガンダムに興味を持たせよう。
「おどろいたなー」
「シャアは有名じゃん。コンビニとかでも見かけるしさ。」
「そっかー。そりゃもうガンダム通だね。」
「ふふっ そうね。」
ガンダムは最近のコンビニ商品とも相性が良い。
一番くじなどで景品になっているガンダムアイテムたちは、ちゃんと主婦層にも影響を与えていた!
恐るべしコンビニのチカラ。
もとい。
ガンダムのチカラ。
「じゃあさ、シャアの他に何を知ってる?」
「そうね… シャアってあれでしょ?赤い彗星だっけ?」
「なんと!!」
調子にのって来た。
いいぞ嫁!
「おぉーー!そうそう!そーうなんだよ。赤い彗星なんだよ!」
「あれモビルスーツって言うんでしょ?」
!!!
モビルスーツだと!
専門用語じゃねーか!
「やるなー。よく知ってるねぇ。」
「まあね。ほらあれでしょ?赤いガンダム。」
「…?」
赤い…ガンダム…。
なんじゃそら…。
お前が言うと赤いきつねみたいだな。
「う~ん… シャアはガンダムには乗らないな… たぶん赤いのはザクだよ…。」
「ふーん。私も運転してみたい。」
今度は、クイッ、クイッとハンドルを回す身振りで嫁が言った。
う、運転?
モビルスーツって運転するもんだっけ…
操縦だと思う…。
つっ込みどころが満載でいちいち立ち位置を見失ってしまうわ。
「ハンドルじゃないんだよなぁ。多分あれは操縦桿だね。」
「そうなんだ… じゃあつまんない。」
なんだ「じゃあ」って!
だんだん雲行きが怪しくなってきた…
いや、いかんいかん。ここで怒ってはいかん。
我慢だ。俺。
「でもすごいよ。ちょっと驚いちゃった。まさかそんなに知っているとはねぇ」
「他にも知ってるわよ。」
「なにさ?」
「シャアって、女好きなんでしょ?」
嬉しそうに嫁が言った。色恋沙汰は大好きらしい。
しかし、一体どこから仕入れた情報なのか…
「ん? んー、まあそうだね。間違ってはいないかな…」
「アムロと奪い合ったんでしょ?」
「誰を?」
「あの人よ、ほら。セイラさん!」
…
たいがいにしとけ。
妹だぞ。
そんなやばいアニメではない。
一体どこでガセネタをつかまされたんだか…
「いや、セイラさんはシャアのいも…」
「あっ!間違えた。ミライさんだ、みらいさんよね」
チーン。
知ってる名前を適当に言ってるだけじゃん。
こいつがガンダムのことを何も分かってはいないことが今わかった…